2024年の1月から新NISAが順調にスタートしています。
新NISAによる投資資金は、「eMAXIS SLim(全世界株式)」などの世界の株に投資する投資信託に向かっているようですが、国内株の好調もあり、今後は国内株に投資する投資信託にも資金が向かいそうな気配です。
また、一方で老後の資産形成を目的とした確定拠出年金(企業型・iDeCo)でも税制優遇があり、どちらを活用したらよいのかわからないという声も耳にしますので、新NISAと確定拠出年金の違いを整理しておきます。
ここでは、確定拠出年金は会社員(厚生年金保険の被保険者)が加入する企業型について、比較対象とします。
新NISA | 確定拠出年金 | |
対象年齢 | 18歳以上 | 20歳以上65歳未満 |
運用期間 | 期限なし | 75歳まで |
引出 | 制限なし | 原則60歳以降 |
運用益 | 非課税 | 非課税 |
掛金の所得控除 | 不可 | 全額所得控除 |
引出時の課税 | なし | 退職所得※1 雑所得※2 |
運用商品 | 特定の投資信託 株式 等 | 投資信託 定期預金 保険 |
掛金上限 | 360万円 | 66万円※3 |
手数料 | 信託報酬 | 信託報酬 |
※1 一時金として受け取る場合は、退職所得として退職所得控除額を超過した金額に課税されます。
※2 年金として受け取る場合は、公的年金等に係る雑所得として、公的年金等控除額を超過した金額に課税されます。
※3 事業主掛金と従業員マッチング拠出分を合わせて66万円以内(従業員拠出分は事業主掛金以内)。
新NISAと確定拠出年金の主な相違点
- 新NISAはいつでも自由に引き出すことができますが、確定拠出年金は老後の資産形成を目的とした制度のため原則として60歳になるまで引き出すことができません。
- 新NISAの掛金は所得控除の対象にはなりませんが、確定拠出年金はマッチング拠出により従業員が拠出した掛金の全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となります。
- 新NISAは引出した金額に課税されることはありませんが、確定拠出年金は60歳以降の引出時に所定の控除額を超えた場合に退職所得や雑所得として課税される可能性があります。
- 新NISAでは元本確保型の商品は投資することはできませんが、確定拠出年金では定期預金や保険などの元本確保型の商品に投資することができます。
このような相違点を加味すると、次のような利用が良いように思います。
- まず、新NISAの投資枠360万円(積立投資枠120万円、成長投資枠240万円)までは、新NISAで運用する。
- 新NISAの投資枠の360万円を使い切ったら、確定拠出年金のマッチング拠出を行う。