「障がい者の雇用の促進等に関する法律」(障がい者雇用促進法)の改正により、2024年4月から障がい者雇用の制度が変更になります。
1.週所定労働時間10時間以上20時間未満の重度の障がい者(特定短時間労働者)の雇用率算定
障がい者の雇用に関しては、週所定労働時間が20時間以上の雇用者を対象としていましたが、特に精神障がいをお持ちの方は週20時間未満の労働をするケースが増えていることから、週の所定労働時間10時間以上20時間未満で働く重度の身体障がい者、重度の知的障がい者、精神障がい者(特定短時間労働者)を下記の通り「0.5人」として実雇用率に算入できるようになります。
週所定労働時間 | 30h以上 | 20h以上 30h未満 | 10h以上 20h未満 |
身体障がい者 | 1 | 0.5 | ー |
重度身体障がい者 | 2 | 1 | 0.5 |
知的障がい者 | 1 | 0.5 | ー |
重度知的障がい者 | 2 | 1 | 0.5 |
精神障がい者 | 1 | 0.5※ | 0.5 |
※精神障がい者である短時間労働者は、雇い入れの日からの期間等にかかわらず、当分の間、1人をもって1人とカウントできます。
なお、この特例の対象となる特定短時間労働者が所定労働時間の延長を希望する場合は、その有する能力に応じて労働時間の延長等を行うように努力する必要(努力義務)があります。
2.雇用率の見直し
障がい者雇用促進法では、5年ごとに雇用率の見直しを行うこととされており、2023年に見直しが行われました。
具体的には、2023年4月以降段階的に雇用率が下記の通り引き上げられます。
雇用率 | |
2023年4月~ | 2.3% |
2024年4月~ | 2.5% |
2025年7月~ | 2.7% |
3.除外率の見直し
障がい者雇用促進法では、障がい者の就業が困難であると認められる職種が相当の割合を占める業種について、雇用率を計算する際の分母となる労働者数から一定割合を控除することにより雇用率を引き下げて、障がい者の雇用義務が軽減されています。
例えば、常用労働者数が1,000人、除外率20%の業種の場合、雇用義務のある障がい者数は18人となります。
- 1,000人×20%=200人(除外人数)
- (1,000人ー200人)×2.3%(雇用率)=18.4人(小数点以下切り捨て)
この除外率が2025年4月以降、一律に10ポイント引き下げられます。
業種 | 2025年4月~ | 現在 |
・非鉄金属製造業 (非鉄金属第一次精製業を除く) ・倉庫業 ・船舶製造・修理業、船用機関製造業 ・航空運輸業 ・国内電気通信業 (電気通信回線設備を設置して行うものに限る) | ー | 5% |
・採石業、砂・砂利・玉石採取業 ・水運業 ・窯行原料用鉱物鉱業 (耐火物・陶磁器・ガラス・セメント原料用に限る) ・その他の鉱業 | ー | 10% |
・非鉄金属第一次精錬・精製業 ・貨物運送取扱業 (集配利用運送業を除く) | 5% | 15% |
・建設業 ・鉄鋼業 ・道路貨物運送業 ・郵便業 (信書便事業を含む) | 10% | 20% |
・港湾運送業 ・警備業 | 15% | 25% |
・鉄道業 ・医療業 ・介護老人保健施設 ・介護医療院 ・高等教育機関 | 20% | 30% |
・林業 (狩猟業を除く) | 25% | 35% |
・金属工業 ・児童福祉事業 | 30% | 40% |
・特別支援学校 (専ら視覚障がい者に対する教育を行う学校を除く) | 35% | 45% |
・石炭・亜炭鉱業 | 40% | 50% |
・道路旅客運送業 ・小学校 | 45% | 55% |
・幼稚園 ・幼保連携型認定こども園 | 50% | 60% |
・船員等による船舶運航等の事業 | 70% | 80% |
なお、この除外率は、ノーマライゼーションの観点から、廃止の方で今後段階的に引き下げられる予定となっています。