令和5年12月22日に、厚生労働省より、令和5年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果が公表されました。
集計結果の主なポイント
1.65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況
- 65歳までの高年齢者雇用確保措置は報告企業のほぼすべての企業で実施されています。
- 雇用確保措置を実施済みと報告した企業について、雇用確保措置の内容別に見ると、定年制の廃止は3.9%、定年の引上げは26.9%、継続雇用制度の導入は69.2%でした。
- 「継続雇用制度の導入」を行うことで雇用確保措置を講じている企業を対象に、継続雇用制度の内容を見ると、希望者全員を対象とする制度を導入している企業は84.6 %で、中小企業では86.1%、大企業では68.1%でした。
- 一方、経過措置に基づき、対象者を限定する基準がある継続雇用制度を導入している企業(経過措置適用企業)の割合は、企業規模計では15.4%であったが、大企業に限ると31.9%でした。
2.70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況
- 70歳までの高年齢者就業確保措置(以下「就業確保措置」)を実施済みの企業は、報告した企業全体の29.7%で、中小企業では30.3%、大企業では22.8%でした。
- 就業確保措置を実施済みと報告した企業について内容別に見ると、定年制の廃止は3.9%、定年の引上げは2.3%、継続雇用制度の導入は23.5%、創業支援等措置の導入は0.1%でした。
- 就業確保措置とは、①定年制の廃止、②定年の引上げ、③継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入、④業務委託契約を締結する制度の導入、⑤社会貢献事業に従事できる制度の導入(事業主が自ら実施する社会貢献事業または事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業)のいずれかを措置。
- 創業支援等措置とは、就業確保措置のうち、④業務委託契約を締結する制度の導入及び⑤社会貢献事業に従事できる制度の導入という雇用以外の措置を創業支援等措置という。
3.企業における定年制の状況
- 定年制を廃止している企業は3.9%
- 定年を60歳とする企業は66.4%
- 定年を61~64歳とする企業は2.7%
- 定年を65歳とする企業は23.5%
- 定年を66~69歳とする企業は1.1%
- 定年を70歳以上とする企業は2.3%
65歳までの雇用確保措置は義務化されていることもあり、ほぼすべての企業で実施されています。
次の段階である70歳までの就業確保措置については、努力義務ということもありまだ全体で3割弱の実施にとどまっているという状況ですが、いずれ義務化されることは間違いないと思われます。
また、高年齢者雇用安定法の改正に伴い雇用の継続は進んでいますが、定年は60歳のままという企業が大多数を占めているというのが現状です。