厚生労働省が公表している令和4年の労働災害発生状況をみると、死亡者数は774人と過去最少となった一方で、死傷者数は132,355人となり過去20年で最多となりました。
事故の類型では、死傷者数が最多の「転倒」が35,295人(前年比1,623人、4.8%増)、腰痛等の「動作の反動・無理な動作」が20,879人(同103人、0.50%増)と、この2つの類型で全体の4割を超えています。
年齢別では、60歳以上が全死傷者数の約4分の1を占め、37,988人(前年比1,618人、4.4%増)となりました。
「転倒」や腰痛等の「動作の反動・無理な動作」などの事故が増えている原因としては、雇用継続により60歳以上の高齢者が増加していることが影響していると思われます。
労災事故発生時の対応手順
1.労災の現場での対応
(1)従業員の負傷状況などの確認
(2)被災労働者の救護(応急手当)
(3)二次災害防止措置
(4)被災労働者の病院への搬送(付き添い同行)
付き添い担当者は、搬送先の医療機関名、医師からの説明内容等を記録します。
2.関係者への通報、連絡
(1)被災労働者のご家族への連絡
ご家族に対しては、医療機関への送迎、事故状況の説明など誠意をもって対応し、労災保険の手続き等についても説明を行ったほうがよいでしょう。
(2)取引先、元請事業者(建設業)等への連絡
(3)会社への報告
(4)事故の内容によって必要な連絡先
- 火災や爆発、酸欠事故の場合:消防署
- 感電:電力会社
- ガス漏れ:ガス会社
- 水道管破裂:水道局
- 公道上に鉄骨等が倒壊した場合:道路を所管する官公庁(国、県、市等)
(5)重大な災害の場合は警察、労働基準監督署への連絡
救急や消防の出動を求めるような災害発生時には、警察、労働基準監督署への通報が不可欠となります。
労働基準監督署へ通報しておくことで、後日の報告書類の提出や労働基準監督署の災害調査が円滑に行われると思います。
3.労災保険手続きの手配
所定の労災保険給付請求書を労働基準監督署(労災指定病院で治療を受けた場合は当該病院)に提出します。
4.労働基準監督署への報告
①死亡及び休業4日以上の場合:事故発生後遅滞なく
②休業1~3日の場合:四半期ごとの最終月の翌月末日まで
- 事故報告
事業場内の爆発・火災事故、ボイラー、クレーン、圧力容器、エレベーター等に関する事故(労働安全衛生規則第96条)などは、労働基準監督署に報告を行う必要があります。
5.災害調査等への対応
労災事故発生をきっかけに、労働基準監督署の労働基準監督官、安全衛生担当官が災害現場へ立入調査に入る場合があります。