キャリアップ助成金(社会保険適用時処遇コース)は、新たに社会保険が適用されることで生じる保険料の負担が従業員の手取り収入の減少につながらないようにする取り組みに対して支給されます。

  • 社会保険適用促進手当等を支給する場合に助成するメニュー(手当等支給メニュー
  • 労働時間の延長を組み合わせて従業員の収入を増やした場合に助成するメニュー(労働時間延長メニュー
  • 社会保険適用促進手当等支給と労働時間延長を併用する場合に助成するメニュー(併用メニュー

1.前提要件

  • 雇用保険の適用事業所であること
  • 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアップ管理者を任命していること

2.キャリアップ助成金の申請の手順

  1. キャリアアップ計画の作成・提出
  2. 対象となる従業員の社会保険の適用
  3. 社会保険の適用後6カ月分の賃金の支払い
  4. 助成金の支給申請(上記3の翌日から2カ月以内)

★ポイント!

キャリアアップ助成金が支給されるためには、社会保険の適用日の前日までに「キャリアアップ計画」の提出が必要になります。

※計画の提出は、窓口への持参や郵送の他に、電子申請も可能です。

3.支給額(1人当たり)

(1)手当等支給メニュー

新たに社会保険の被保険者となった際に、賃金総額を増加させる取り組み(①、②)を行い、最終的に恒常的な所得の増額となる取り組み(③)を行った場合の助成額は以下のとおりです。

①、②:労働者負担分の社会保険料相当額(標準報酬月額等の15%以上)の手当支給または賃上げ

③:基本給の総支給額を18%以上増額(賃上げ等、労働時間延長あるいは、その両方による増額)

1~2年目3年目
中小企業40万円
(10万円×4期)
10万円
大企業30万円
(7.5万円×4期)
7.5万円
3年目の取り組みを1年前倒しし、1年目に①の取り組みを行た後、2年目に③の取り組みを行った場合、2年目の支給額は中小企業30万円、大企業22.5万円となります。

(2)手当等支給メニューの留意点

  • 1年目、2年目の賃金の15%以上の算定について

15%というのは、厚生年金保険料率の18.3%と、協会けんぽの全国平均保険料率の10.0%及び介護保険料率の1.82%の合計30.12%を労使折半した率である15.06%が根拠になっています。

★ポイント!

運用上は、各事業所の所在地の保険料率で算出された労働者負担分の社会保険料額以上の金額が手当等で追加支給されていれば、賃金の15%以上でなくても助成金は支給されます。

  • 3年目の18%以上について

社会保険適用後6か月間の基本給と比べて、3年目の開始後の6か月間の基本給等(社会保険適用促進手当を恒常的な手当とする場合はその手当を含む)を18%以上増やすことが要件になります。

★ポイント!

18%以上の増額要件は、週所定労働時間の延長による増額も対象になるので、従業員の事情等に応じて賃上げと労働時間延長を柔軟に組み合わせる(併用メニュー)ことが可能です。

(3)労働時間延長メニュー

新たに社会保険の被保険者となった際に、週の所定労働時間を延長する等を行った場合、または、週の所定労働時間を延長する等を実施し、これにより当該労働者が社会保険の被保険者となった場合の助成額は以下のとおりです。

労働時間
延長
賃金
引上率
中小
企業
大企業
4時間以上30万円22.5万円
3時間以上
4時間未満
5%以上30万円22.5万円
2時間以上
3時間未満
10%以上30万円22.5万円
1時間以上
2時間未満
15%以上30万円22.5万円

労働時間延長メニューは、社会保険適用にあたって、週所定労働時間を4時間以上延長するか、一定割合以上の賃金の増額を組み合わせながら週所定労働時間を1時間以上4時間未満の範囲で延長させる(併用メニュー)ことが要件になります。

(4)労働時間延長メニューの留意点

★ポイント!

労働時間延長メニューにおいて賃金を増額する場合は、基本給による増額が要件となり、社会保険促進手当を利用することはできません

(5)併用メニュー

要件助成額
1年目賃金の15%以上分を従業員に支給(一時的な手当可)6か月ごとに
10万円×2回
2年目労働時間延長メニューに記載の方法で、従業員の賃金を恒常的に増加させる6か月で
30万円

4.対象となる従業員

以下の要件を満たす有期雇用等の従業員がキャリアアップ助成金の対象となります。

  • 週所定労働時間を延長した日または新たに社会保険の被保険者とした日のいずれか早いほうの日の前日より6カ月以上前の日から、継続して雇用されていること
  • 社会保険の適用日の前日から起算して過去6カ月間、社会保険の適用要件を満たさず、かつ支給対象事業主の事業所において過去2年以内に社会保険に加入していなかったこと

6.主な助成要件

  • 新たに社会保険の被保険者とした従業員について、基本給および定額で支給している諸手当を社会保険の適用前と比べて減額していないこと
  • 新たに社会保険の被保険者とした従業員について、社会保険の加入状況(労働時間を延長する場合は、週所定労働時間を含む)を明確にした雇用契約書等を作成・交付していること

キャリアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)の申請をご支援します

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