病院で行われる治療の大部分は、健康保険が適用(保険適用)されます。

しかし、新しい治療に関しては、2年に1度、診療報酬改定の際に健康保険(自己負担原則3割)を適用するか否かが検討されます。

新しい治療に健康保険を適用するためには、新しい治療の安全性や有効性などが十分に確かめられなければなりません。

しかし、実際には専門家の間で意見が分かれたり、見極めが難しかったりして判断に時間がかかるものもあります。

その中で、国が一定の安全性や有効性などを認めた治療については、健康保険を適用して実際に臨床で応用しながら、総合的にみて健康保険の適用が妥当かどうかを評価するシステムが「先進医療制度」です。

本来、健康保険が適用される診療(保険診療)と適用されない診療(保険外診療)の併用は禁止されています。

したがって、一部でも保険外診療が混ざると、その治療に係る診察や検査、投薬、入院料などの基本的な医療費はすべて自己負担になってしまいます。

しかし、先進医療に該当する医療は併用が認められるため、基本的な医療費については健康保険が適用され、患者さんの経済的な負担が軽減されます。

先進医療に係る自己負担の事例

先進医療に係る技術料が20万円、総医療費が100万円の場合

  • 先進医療に係る技術料20万は、全額自己負担となります。
  • 先進医療に係る技術料以外の80万は、健康保険が適用されます。
  • 健康保険等が適用される場合は自己負担が原則3割なので、24万(80万×3割)が自己負担となります。
  • 健康保険が適用される部分は、高額療養費の対象となるため、自己負担の月額の上限(約9万円)を超える金額約15万(24万-9万)が還付されます。
  • 先進医療に係る技術料20万円と自己負担の月額の上限となる約9万の合計約29万が自分負担となります。
  • 結果的には、100万円の医療費負担が、約29万円の負担で済むことになります。

先進医療の中心

がんの治療は技術革新が著しいため、どうしても健康保険適用に至る前の状態にある技術が増え、先進医療の中心になっています。

先進医療を受けられる病院

先進医療はどの病院でも受けられるわけではなく、先進医療ごとに決められた病院でしか受けることができません。

先進医療ごとに定められた一定の施設基準を満たす病院に対して、実施を認める制度だからです。

先進医療に該当する技術や、先進医療を実施している医療施設などについては、厚生労働省の「先進医療の概要について」で詳細を調べることができます。

先進医療特約の注意点

保険契約時に先進医療の対象であった治療でも、その後先進医療の対象から外れた場合は、先進医療特約の給付を受け取れないため注意が必要です。

生命保険の見直し(整理)と加入時のセカンドオピニオンを承ります。